働く人の学び直しを支援する制度「専門実践教育訓練給付金」とは?
公開日:2025.06.17

「もう一度、学び直したい。」
そう思ったことはありませんか?
社会に出て働きながら、自分の将来や今の仕事に疑問を感じることは珍しくありません。「もっと人の役に立ちたい」「手に職をつけたい」「全く違う分野に挑戦したい」──そう考えたとき、必要になるのは“学び直し”です。
しかし、現実には「学費」という壁が立ちはだかります。そんな中、国が設けている心強い制度があります。
それが教育訓練給付金制度です。
給付金の対象となる教育訓練は「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3種類があります。「専門実践教育訓練」をご紹介します。
働く人の再チャレンジを支援する制度
専門実践教育訓練給付金とは、厚生労働省が設けた制度で、再就職・キャリアアップを目指す社会人が専門学校や資格取得に向けて学び直す際、学費の一部を国が支給するというものです。
この制度の対象となるのは、就職に直結する職業訓練や国家資格取得を目的とした「専門実践教育訓練」に分類される講座。看護師や保育士、介護福祉士、IT系の資格、そして鍼灸師など、国家資格を目指す専門課程が数多く指定されています。
では、実際どのくらいの支援が受けられるのでしょうか?
最大192万円が支給される仕組みとは
2024年10月からの制度改定により、専門実践教育訓練給付金は、より利用しやすく、そして支援内容が拡充されました。
給付の内訳は以下の通りです。
1. 在学中の給付(基本給付)
- ・教育訓練経費の50%
- ・年間上限40万円
- ・最長3年間(最大120万円)
2. 修了後の追加給付(就職・資格取得時)
- ・教育訓練経費の20%
- ・年間上限16万円
- ・最長3年間(最大48万円)
3. 前職より賃金上昇による追加給付
- ・教育訓練経費の10%
- ・年間上限8万円
- ・最長3年間(最大24万円)
これらを合わせると、最大で192万円の支給を受けられることになります。実際、学費の大部分をカバーできる例もあり、「経済的理由で学べない」を現実的に解消してくれる制度なのです。
利用するための条件とは?
給付金が受けられるからといって、誰でも対象になるわけではありません。申請にはいくつかの条件があります。
主な受給条件(2024年10月改定以降)
- ・雇用保険の加入期間が通算2年以上
- ・厚生労働大臣が指定する「専門実践教育訓練講座」に通う
- ・ハローワークでの事前手続きが必要
- ・修了後、一定の条件で就職または収入が上昇していること
これらの条件を満たすことで、申請が可能になります。特に注意したいのは、申請が事前申込制であること。学校に入学してからでは遅く、あらかじめハローワークで手続きをしておく必要があります。
どんな講座が対象なの?
対象講座は全国に数多く存在しますが、厚生労働省が毎年度指定する講座であることが条件です。分野としては以下のようなものが対象になっています。
- ・看護師、理学療法士、鍼灸師などの医療系
- ・保育士、介護福祉士などの福祉系
- ・調理師、美容師などの技能系国家資格
この中で、特に社会人からの進学者が多いのが医療・福祉分野です。特に鍼灸師などの東洋医学系は、「人の体と心に寄り添う仕事」として、年齢や経験を問わず人気が高まっています。
制度を利用して「学び直す」ことのリアル
実際にこの制度を利用して、人生を切り開いている人も数多くいます。
たとえば、30代で会社を退職して専門学校に通い、3年かけて国家資格を取得した人。あるいは、家族を支えながらパート勤務と両立しつつ講座に通っている人もいます。
専門実践教育訓練給付金は、そうした“第二のスタート”を支援するための制度です。決して若い人だけのものではありません。むしろ、社会に出たからこそ見える「本当にやりたいこと」へと向かう道をつくってくれるのです。
迷っているなら、まずは調べてみよう
この制度を知っているかどうかで、人生の選択肢は大きく変わります。とはいえ、「自分が対象か分からない」「手続きが難しそう」と感じる人も多いでしょう。
でも、安心してください。まずはハローワークでの相談が第一歩です。専門の職員が、あなたの状況に応じて丁寧に説明してくれます。