看護師から鍼灸師へ ───“新たな道”
公開日:2025.05.8

現代医療の第一線で活躍している看護師たちの中に、もう一つの道を歩み始める人がいます。それが、「鍼灸師」という東洋医学の専門職を目指す道です。
看護師という専門職をすでに持ちながら、なぜあえて新たな資格を取得しようとするのでしょうか。そこには、“癒し”に対する深い想いや、西洋医学だけでは補いきれないケアの可能性への探求が存在します。
西洋医学と東洋医学、それぞれの立ち位置
看護師としての仕事は、医師の指示のもとで診療の補助や患者のケアを行い、時に心のケアにも携わる重要な役割を担っています。現代医療は科学的根拠に基づき、迅速かつ的確な対応を可能にする一方で、「人間そのもの」を丸ごと捉えるには限界を感じることも少なくありません。
その一方で、東洋医学──とくに鍼灸療法は、「気・血・水」といった全身のバランスを整えることを基本とし、患者一人ひとりの体質や生活習慣に合わせたアプローチを大切にしています。病名よりも“状態”を診て、身体の内側から自然治癒力を引き出すという考え方は、看護師として日々患者と向き合う中で、もっと別の角度から支えたいと感じたときのヒントになることがあります。
看護師としての経験が活かされる
看護師として培ったスキルや経験は、鍼灸師を目指すうえで大きな強みになります。たとえば、病態の理解や生理学の知識、バイタルサインの観察力、患者さんとの信頼関係の築き方などは、鍼灸の現場でも非常に重要です。
また、医療機関で働いていた経験があるからこそ、鍼灸だけで対応できる範囲と、病院での診療が必要なケースを見極める判断力も備わっていることが多いです。このように、看護師と鍼灸師の両方の視点を持つことは、安全性の高い施術を提供するうえでも価値があります。
鍼灸を学ぶ看護師が増えている背景
近年、「統合医療」という言葉が注目を集めています。西洋医学と東洋医学、さらには心理的・社会的な側面を含めた多角的な医療の在り方が求められている中、鍼灸の役割も再評価されつつあります。
慢性的な痛みやストレス、不眠、女性特有の不調など、病院では“異常なし”とされがちな症状に対して、鍼灸はアプローチできる領域が広いという特長があります。こうした背景の中で、患者さんの「声にならない苦しみ」に自然と気づける看護師の方々こそが、鍼灸の技術を身につけることで、さらに多くの人々の力になれると考えています。看護の現場で培われた“寄り添う力”と、東洋医学の“整える力”が合わさることで、これまで届かなかったケアの可能性が広がるのです。
また、キャリアチェンジやワークライフバランスの観点からも、鍼灸師という職業に魅力を感じる看護師が増えています。自分のペースで働ける自由度の高い環境や、独立開業の選択肢がある点も、今後の人生設計において大きな魅力です。
学び直しへの不安と向き合う
とはいえ、すでに働いている中で改めて専門学校に通い、資格を取得するのは簡単なことではありません。時間的・経済的な負担はもちろんのこと、学生として基礎から学ぶことへのプレッシャーを感じる方も少なくないでしょう。
しかし、多くの看護師は「現場での経験」があるからこそ、学ぶべき知識や技術の重要性を強く実感し、意欲的に取り組めるという側面もあります。また、同じように医療職からの転身を目指す仲間がいることで、互いに支え合いながら前に進めるという安心感もあります。
目指すのは、“心身を丸ごと支えるケア”
看護師から鍼灸師へと進む人たちが目指すのは、「身体だけでなく心も含めた全人的なケア」です。東洋医学の考え方は、患者さん一人ひとりの“今ここ”の状態に丁寧に向き合うスタンスを大切にしています。そこには、看護の根幹でもある「寄り添い」の精神が強く共鳴します。
鍼灸師として活躍する看護師たちは、単なる施術者ではなく、「話を聴いてくれる人」「一緒に症状を乗り越えてくれる伴走者」として、多くの患者に信頼されています。西洋と東洋、病院と施術所、その“間”に立てる存在だからこそ、できることがある──そう信じて、新たな一歩を踏み出しているのです。
スポーツ健康医療専門学校では、そんな皆さんを応援します
スポーツ健康医療専門学校にも、毎年、看護師として現場で活躍してきた方が入学されています。やはりそこには、「目の前の患者さんの痛みを自分の手で直接取ってあげられない苦しさ」や、「もっと深く癒してあげたい」という、強い想いが共通してあります。
本校では、そうした経験を持つ皆さんが、鍼灸という新たな武器を手に入れ、より多くの人に寄り添えるよう、万全のサポート体制を整えています。
もし、この記事を読んでくださっている看護師の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、スポーツ健康医療専門学校のオープンキャンパスへお越しください。入学をすぐに決める必要はありません。まずは体験授業を通じて、鍼灸の世界を“肌で感じて”みてください。きっと、ご自身の将来や、これからの働き方について、何かヒントが得られるはずです。
東洋医学に興味を持ったその気持ちが、次のステージへの扉を開く第一歩になるかもしれません。お気軽にご参加ください。心よりお待ちしております。